イントロ
パラレルワールドにあるもうひとつの地球。そこは悪のスーパーマンことウルトラマンや、悪のバットマンであるオウルマンを筆頭とするクライム・シンジケートによって支配された、善悪の逆転した世界だった。
レックス・ルーサーたちJustice Leagueの面々は人々を悪の支配から開放しようと奮闘するが、クライム・シンジケートによってメンバーは次々と撃破され、ついには生き残ったのはルーサー一人となってしまう。
そこでルーサーは最後の希望として、次元を超えてスーパーマンたちのいる地球を訪れ救援を要請した。
話し合いの末、スーパーマン、ワンダーウーマン、ジョン・ジョーンズ、フラッシュ、グリーン・ランタンの5人はルーサーの要請を受け入れ、彼のいたもうひとつの地球へと向かう。ただ一人、自分たちの地球を守るので手一杯だと反対したバットマンを残して…
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ジャスティス・リーグを主役にしたOVA。
今本国でシーズン2が大人気放映中のアニメYoung Justiceとキャラクターデザインが同じとあって前から気になってたのと、先日観たBATMAN: Under the Red Hoodがものすごく面白かったので、OVAシリーズも色々観てみようということで買ってみました。

主役はジャスティス・リーグだけど、日本でも放送したTVシリーズの Justice League 及び Justice League Unlimited とは、グリーン・ランタンが3代目のジョン・スチュワートでなく2代目ハル・ジョーダンだったり、ホークガールがメンバーじゃなかったりと若干設定が異なってます(原作に忠実なのは実はこちらのメンバー構成)。

内容は、アメコミでは割とおなじみ、ヒーローたちがパラレルワールドを訪れ、その世界の問題を解決するという異次元もの。

ひとくちにパラレルワールドと言っても性別が逆転した世界だったり、コミックの中のヒーローが活躍する世界だったり、ヒーローの正義が暴走して圧政を敷くディストピアだったりと色んなパターンがあるけど、このアニメで描かれるのはヒーローとヴィランの立場が入れ替わった善悪逆転の世界。例えば本来の世界では悪人のはずのレックス・ルーサーが正義のヒーローに、本来の世界では正義の象徴のスーパーマンがウルトラマンと名を変えて悪の首領に…という具合。

普段とは逆転した性格のヒーロー・ヴィランたちの描写の数々は、ジャスティス・リーグやバットマン、スーパーマンを観たことがある人はニヤリとすること必至。とんでもない容姿・性格になっているキャラに思わず笑ってしまうシーンあり、同じ能力を持つ善と悪同士の対決に燃える展開あり、と盛り沢山な内容になっています。

この正義のレックス・ルーサーがまたカッコよくて、ジャケット絵には載ってないものの本当の意味での主役は彼だと言ってもいいんじゃないかな。
冒頭からいきなり登場する正義のルーサーと正義のジョーカーことジェスターのコンビにはがっちりハートを掴まれました。

というわけで続きからネタバレありで序盤のストーリーを解説してみます。
物語の始まりは、ウルトラマン率いるクライム・シンジケートから重要なエネルギー物質クァンタム・トリガーを盗み出すためにルーサーとジェスターが基地へ侵入するシーンから。目的の物はゲットしたものの、すぐに追手がかかり逃げ出す二人。しかしジェスターは追手を引き止めるために自分一人基地に残ろうとする。

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「まだやれることがあるだろう、一緒に逃げるんだ!」と説得するルーサーに対し、「そのピカピカの禿頭を早くどっかにやってくれ。目が痛くてたまらねえんだ」と言ってニヤリと笑うジェスターがカッコ良すぎる…! やむなく一人脱出するルーサーの背後で、ジェスターは追手のクライム・シンジケート幹部を道連れに自爆。もっと活躍が見たかった…。・゚・(ノД`)・゚・。

そして脱出したルーサーを待ち受けていたのは、クライム・シンジケートの中心メンバーたち。

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左から、ジャスティス・リーグにおけるフラッシュにあたるジョニー・クイック、スーパーマンにあたるウルトラマン、ワンダーウーマンにあたるスーパーウーマン、そしてバットマンにあたるオウルマン。画像では見切れてるけど、グリーン・ランタンに対するパワー・リングもいます。(悪のジョン・ジョーンズであるジェド・ジャーカスはジェスターの自爆で開幕早々退場…)
自ら作った強化スーツを着ているとはいえ、一人で敵うはずのない相手に追い詰められ絶体絶命のルーサーは、ジェスターが残した別の次元の地球に転移する装置を使ってスーパーマンたちのいる地球に向かいます。

一方その頃本来の地球のジャスティス・リーグでは、来るべき緊急事態に備えて活動拠点である衛星基地・ウォッチタワーをメンバー総出で建設中。どうやらこのOVAはジャスティス・リーグ設立から日も浅く、メンバーは立ち上げ時の6人だけ、という時期に設定されてるようです。
衛星軌道上に浮かぶ基地なので地上との行き来にはスペースジェットやら瞬間転移装置やらが必要となるわけですが、まさにそれが完成したところ。バットマンがフラッシュを被験者に、出来立ての転移装置の稼働実験をします。

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どっかの屋台で買ったプレッツェル(画像には写ってないけど)を呑気にパクついて実験開始の合図を待っていたフラッシュだけど、いよいよとなると不安になって、「この装置ほんとに問題なく動くんだよな…?」とバットマンに念押し。
それに「ああ、多分な」と答えながら起動スイッチを押すバットマン。
「多分!? 多分じゃ不十分だろ…!」と抗議の声が終わる前に瞬間移動が完了。

「問題があったらどうするつもりだったんだよ!」とキレまくるフラッシュも可愛いですが、涼しい顔でプレッツェル横取りして行ってしまうバットマンも、「ブルースが不確かなことにあなたの命を賭けるようなことすると本気で思ってるの?」ってなだめるワンダーウーマンも、「俺あいつに嫌われてない…?」ってボヤくフラッシュに「彼は誰のことも好きではないように見えるな」と返すジョンジョンもみんな可愛いw
このアニメにおける数少ないほのぼのシーンですね(でもこれが後の重要な伏線になってたりします)。

ところ変わって次元を超えてメトロポリスに降り立ったルーサー。衝突してきた車(ルーサーが突然現れるから悪いんだけど…)の運転手にもやたら柔和な物腰で警察署への道を訪ねます。

こっちの地球のレックス・ルーサーは誰もが知る大物ヴィランなので、突然の来訪に当然警察も大慌て。「ジャスティス・リーグに連絡を取って欲しいんだ」と告げると「さもなきゃどうする?」と訊き返され、「さあ…世界を破壊でもするか。それで満足かね?」なんて余裕たっぷりなところが善悪逆転しててもルーサーらしくてステキ。

早速連絡を受けたスーパーマン、ワンダーウーマン、フラッシュの3人が警察署に到着すると、取調室で待っていたのは素っ裸で新聞を読んでるレックス・ルーサー…非武装であることを証明するのになにも全裸になることはないと思うのですがw

そんな一悶着ののち、ウォッチタワーに招かれたルーサーはジャスティス・リーグに支援を求め、一人反対するバットマンをタワーに残し、ルーサーの要請を受け入れたジャスティスリーグメンバーは転送装置を使ってもうひとつの地球のウォッチタワーへと移動するのでした。

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いきなり転送先で機密データを略奪しようとしていたクライム・シンジケートの面々と大空中戦になったりとここからどんどん盛り上がっていくのですが、詳細なストーリー解説はこのへんで。

私的にこのアニメイチオシのポイントをいくつか。

まずキャラクターの魅力。
真の主役と言える別アース版レックス・ルーサーの魅力についてはここまででも書きましたが、影の主役と言えるのが悪のバットマンことオウルマンと、悪のワンダーウーマンことスーパーウーマン。

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パッケージではスーパーマンとウルトラマンがセンターをでかでかと飾ってますが正直この二人は本編では割と脇に徹してる感じ。オウルマンとスーパーウーマン、刹那主義で破滅的なこのカップルが主軸となって、シンジケートの仲間ですら予測していなかった宇宙規模の破滅へと物語を導いていきます。
理知的かつ冷酷なオウルマンと情熱的かつ残忍なスーパーウーマンの対比はドラマ面でもアクション面でも面白く、アダルトな魅力が溢れてます。

もうひとつの物語の軸として、マーシャン・マンハンターことジョン・ジョーンズの珍しい恋愛エピソードが語られています。
恋のお相手がまた意外な人物なんですがここでは伏せといて。
TVシリーズのジャスティス・リーグではいつも不遇な役回りばかりのジョンジョンがここでは甘酸っぱい恋の駆け引きをしていてとても微笑ましいので、常々ジョンジョンを不憫に感じている方に是非オススメしたいですw

そして何より圧巻なのがアクションシーン。
あちらの世界のウォッチタワーでのクライム・シンジケートとの大乱闘、それに続く空中チェイス、小編成に分かれての能力バトルなど、息をつかせる暇もありません。

特に空中バトルのシーンは、ヘタな実写アクション映画顔負けの凝ったカメラワーク、スピード感溢れる演出で迫力満点。ワンダーウーマン、スーパーマン、グリーンランタンもストーリー的にはあまり見せ場が多くないのですがここでは大活躍です。

個人的にイチオシなのはスーパーウーマンとバットマンの「超人 vs 常人」対決。心理的な駆け引きも含めて、色んな意味でおいしいカードでした。

そんなわけで、以下のような人に特にこのアニメをオススメします。

  • ジャスティス・リーグが好き
  • バットマンが好き
  • フラッシュが好き
  • ジョン・ジョーンズが好き
  • レックス・ルーサーが好き
  • パラレルワールドものが好き
  • めまぐるしく動くアクションアニメが観たい
  • 男を組み敷いちゃう強い女が好き
  • 強い女に組み敷かれる男に萌える

ついでに、アニメYoung JusticeのキャラデザもしてるPhil Bourassaさんの絵柄は海外アニメを見慣れない日本人にも割と受け入れやすいんじゃないかと思ってるので、「アメコミに興味あるけど漫画は読むの大変そうだし、TVアニメは多すぎてどこから手を出せば…」と思ってるような人にもオススメなんじゃないかと思ってます。

BD版と二枚組DVD版に収録されてる "The Spector" もホラーテイストでカッコいいし、アニメジャスティス・リーグから同じパラレルワールドテーマのエピソードを抜粋した "Better World"(邦題:より良き世界)も名作の呼び声高いので入門編にぜひ。

BDは北米と日本でリージョンが同じなのでPS3や普通のBDプレイヤーで再生できます。
DVD版は確認してませんが、ワーナー販売のDC系アニメは殆ど実質リージョン・フリーなので再生できるんじゃないかな…? もしDVD版でお持ちの方は情報お寄せいただけると嬉しいです。