ポール・ディニといえばアメコミファンにはお馴染み、バットマン、スーパーマン、ジャスティスリーグなど数々のアニメシリーズで素晴らしい脚本を手がけ、最近ではゲーム「バットマン/アーカム・アサイラム」や続編の「アーカム・シティ」での脚本も記憶に新しいベテランライターです。
あ、先日このブログで翻訳記事をアップした"Comfort and Joy"を書いたのもディニ氏ですね。

そんなディニ氏がTwitterで投げかけた何気ない問いかけに、ご存知マーク・ハミルが自らの演じたジョーカーについて質問をしたものだからこれは熱い!

早速そのやりとりを翻訳してみました。

ミスティ(ディニ氏の奥さん)は明日やる大掛かりな撮影の準備があるから、今日のポッドキャストは僕ひとりでやるよ。誰かなんか質問ある?
やあポール、きみはたくさんの素晴らしいジョーカーの脚本を書いたけど、その中でもお気に入りのものはあるのかな?
それが気になる人たちにとっても、膨大なジョーカーの脚本の中からたったひとつを選ぶのは難しすぎるだろうけど。
きみのおかげで全てが僕のお気に入りだよ。
実際のところ、それぞれをとても気に入ってるから選べないな。
もし選ばないといけないとしたら、たぶん"Joker's Favor(邦題:ジョーカーの陰謀)"かな。僕はあの話の中でジョーカーを残忍かつ滑稽で、最後には怯えさせるよう描かなきゃならなかった…
そしてきみはその全てを完璧にもたらしてくれた。"Return of the Joker(邦題:甦ったジョーカー)"での、より暗く邪悪なジョーカー…あれもとても素晴らしかったよ。
ありがとうポール。「もしそれがページ上に存在しないなら…」きみはあの素晴らしい脚本たちで僕を甘やかしてくれた!それは20年にわたる心地良いトリップだったよ!

以上。例によって意訳も含むのでご了承を。

最後のハミル氏のツイートに出てくる "If it ain't on the page..." は、舞台や映画業界の人がよく口にするFred F. Finklehoffeの金言から来ているようです。
全文は

“If it ain’t on the page, it ain’t on the stage”


「もしそれがページ上に存在しないなら、舞台上にも存在しない」
といったところでしょうか。視聴者が観たもののすべては必ず脚本に書かれている、つまりは脚本家の功績を称える言葉ですね。ハミル氏のディニ氏へのこの上ない敬意が伝わってきます。

dementiaはそのまま訳すと認知症になるのですが、ラテン語の狂気が語源らしいのでジョーカーの狂気とかけた言い回しなのかなーと思って、上記のように意訳してみました。


さて、アニメシリーズのバットマンを観たことがない人のためにディニ氏が挙げた2作品を簡単に説明します。

"Joker's Favor(邦題:ジョーカーの陰謀)"BATMAN: The Animated Seriesの22話(日本での放映順では7話)。

気の弱い中年男性がひょんなことからジョーカーに目をつけられてしまい、家族をダシに脅され命令されるまま悪事を手伝うハメになる…というエピソードです。
ジョーカーのせいで散々な目に巻き込まるものの、最終的には大逆転。ただの一市民にすぎない中年男があのジョーカーを怯えさせるまでに…という、さすがディニ脚本と言いたくなるヒネリの効いたストーリー。
でも数あるジョーカー大活躍エピソードをさしおいて、珍しく情けないジョーカーが登場するそれを選ぶのもなんだか面白いですね。

もうひとつの "Return of the Joker(邦題:甦ったジョーカー)"は、BATMAN BEYOND(邦題:バットマン・ザ・フューチャー)の劇場版アニメとして制作されたもの。

舞台は年老いたブルース・ウェインがバットマンを引退し、その役目を若きテリー・マクギニスに譲った近未来のゴッサム・シティ。そこに、とっくに死んだと思われていたジョーカーが現れた。しかもなぜか少しも年老いず、若々しい姿のままで…というお話。
ディニ氏の言う通り、The Animated Seriesの頃より一層凶悪さを増したジョーカーをハミル氏がエネルギッシュに演じていて、お気に入りに取り上げられるのも納得の素晴らしさです。

こちらは日本語版DVDが出ていてAmazonやレンタルでも入手できるので、バットマン好きは是非観てみてください。これ一本だけ観ても楽しめるようになってます。
ブルース・ティムによる、より洗練されたジョーカーのデザインも必見です。